特別インタビュー)日本の「住」にはまだ可能性がある! 日本の「壁」には可能性しかない!?

壁紙の魅力

10年以上リフォーム業界で価値提供を続けている梶田様が強調する、「設備ではない満足度」「付加価値のあるリフォーム」を広げたいという想い。
梶田様に壁紙に感じている可能性、現状の課題や今後の展望などをインタビューしました。
今後のリフォームの在り方、広くは今後の日本の住まいを考える上で大変興味深い内容を伺うことができました。

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カジタプランニングオフィス 梶田 恵臣様
大手住宅設備メーカー勤務、インテリアコーディネーターとして経験を積み2006年独立後はリフォーム業界に対するコンサルティング業務に情熱を注ぐ。
特にガス業界のリフォーム事業部門へ「付加価値のあるリフォーム」の重要性を訴え続けている。TECIDOとは"壁を楽しめる業界/社会"をキーワードに協同で勉強会実施中。

1.住宅業界全体の課題とは?

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海外の住まい事情と比較して日本の住まい事情は都市部に集中し、床面積が狭く窮屈な住まいが多いのが現状です。それに加え、没個性の住まいが増えてきてしまったことは業界全体に責任があると感じます。
日本の風潮で「衣食住」の中でも「住」の優先順位が低い傾向にあると思います。
けれど、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症によって「住」の重要性に気付いた人も多いのではないかと感じています。

個人的には、20年前からこれからの住空間は「モノからコト」にシフトしていくと唱え続けてきましたが、業界全体としては実現できていないと感じられずにはいられないのが現状。
原因としては、古くからある「とにかくモノを作って売る」やり方から抜けきれなかったことにあると思います。

2.リフォーム業界の課題とは?

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リフォーム業界の多くに言えることですが、設備取替(リプレイスメント)が得意な会社が多いです。
言い換えると、モノ以上に空間の心地よさといった付加価値/価値観を丁寧に提案できていなかったということ。理由としては、一時的な要望しか聞いていない結果の表れで、その奥のニーズを捉えられていなかったことにあります。
その他の、床や壁やファブリックなどの面の部分が良くなると顧客満足度が上がるということに目が向けられてこなかった。
自身のミッションは、そうした付加価値のあるリフォームを可能にしていくことです。

3.「モノからコト」に着目した理由とは?

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独立後、携わった顧客へのインタビューで多くの気付き得ることができ、リフォームが人生に大きく関わると感じたことがきっかけとなりました。
例えば、「リフォームして長生きしたくなった」「家族の関係性が変わった」といった声を聞くことができ、住まいが変わると人生が豊かになるということをお客様から学んできました。
"おうち時間"が増えている今だからこそ、家の中で過ごす時間を本質的に大切にしていくという着眼点が見直されていくと思っています。
そういった意味では日本の「住」にはまだまだ伸びしろがあると感じます。
今が住まいづくりの転換点だと。

モノよりコトで打って出るとリピート率や紹介率が高くなり、かつ利益が得られることが私の携わるガス会社様にも分かってきていただいてきています。
価格型から提案型のリフォームにシフトする中で、付加価値のある提案のメリットがあります。
私は壁も「コト」だと思っています。
目から入る情報が9割と言いますが、住まいの中で目から入る情報(面積)が広いのは床と壁。
そこに自分らしさが表現できれば、空間が一変し本当の満足感を感じてもらえると信じています。

日本では、提案する側にも「壁は白いもの」という感覚が強いのが現状です。
けれど、一度遊んでみると顧客満足度の高さに驚く。
やってみないとわからないことなので、提案する側もどんどん経験値を上げてほしいと思っています。
実際に、壁紙で遊ぶ顧客は増えてきています。
「もっと壁で遊ぼう」という視点で大胆に遊んでほしいですね。

4.「モノよりコトで得られる満足感のほうが持続する

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モノで得られる満足感は瞬間で一過性のものが多い。
それでいうと壁(コト)は常に目に入るし、大きく人間の心理に影響するし、得られる満足感は持続します。加えてアートや照明にもこだわるとくつろぎ感や満足感は高くなっていきます。
そこにいる人が幸せで、満足感をもって過ごせないと、ただの箱ものになってしまう...。
もっと言うと真っ白い箱にしてはだめだと思います。

本来、日本人は高い色彩感覚を持ち、色や柄で遊ぶのが得意だったと思います。
安土桃山の派手さや侘び寂びなどの日本文化を思い出しながら、もっと独創性をもったほうがいいと考えています。

現在の住宅の多くは真っ白な壁。
おうち時間が長くなると、家の中がもっと楽しいほうがいい!となるはずです。

5.壁はメディア

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住まいの壁は「自己表現ができるメディア」だと思っています。
便利さではなく心地よさを提供できるのは面である床壁天井。
こうした面で見えるものはメディアと捉えています。

洋服が自分を表現するのと同じようにインテリアも自分たちを表現する場にしてほしいです。
例えば、障子にも組子を入れたりすることで「自分らしさ」が出てきたりする。
大きく言えば床壁天井。中でも垂直な面である「壁」はとても重要です。
日本の住まいづくりの発展性を考えると、もはや床壁天井しか残ってないのではと思います。

今後の住まいはそれらを重要視する方向にシフトしていくと考えます。
既存の選択肢では差別化できるところが限られてきていて、顧客満足度を高めるのは設備だけでなく空間設計になっていく。
実際には、現場で価値提供する上で設備に投資するコストをいかに壁に振り分けるかという作業が発生します。 顧客の予算をどう振り分けるかは住宅業界全体における陣取り合戦になっているのが現状です。
住まいの設計は、設備のスペックではなく間取りや壁のデザインだと思ってもらいたいと想いながら 日々活動しています。

6.テシードが果たせる役割は?

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輸入壁紙自体を知らない人がまだまだ多すぎます。
なんとなく存在は知っていても具体的には分からない人がほとんど。
まずはもっと知ってもらうこと、その先に壁マニアをもっと増やさないといけないと思います。
なのでYOUTUBE等メディアでどんどん発信してほしいと思っています。

住まいを考える際の着眼点が壁にあるのが当たり前になってほしいですね。
壁について大きく捉えれば、内装業者も左官も同類だと感じています。
壁業界全体が手を取り合っていけば壁という切り口で横展開もできるのではないか。
職種を超えて壁で繋がる連合から「壁ってもっと面白い!」というメッセージがあれば業界全体を動かす力になれると思います。テシードにはぜひ発信の旗振り役になってほしいと思っています。

7.今後の展望

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日本の住まいの未来は壁にかかっているといっても過言ではないです。
茶室に象徴されるように、日本独自の文化でいかに狭い空間を心地よくするかという"削られた美"は本来得意分野なはずです。
壁に着目することで元々の得意分野を再考することにも繋がると信じています。

壁は10年に1回取り替えればいい、ではなく、3年ごとや人生の節目で変えるのが当たり前に出来る提案力を磨く必要があると思います。住まいづくりは人生の一大イベントですから。

壁は身近なようで身近でないのが実情なので、いくらでも変える余地はあるし、発信力が今後より重要度を増すと考えます。
現場への発信は引き続き注力していきたいですね。

8.梶田様のモットー

「住まう人の喜びを、作り手と共に実現する」というのがモットー。
住まう人の満足を視覚的・感覚的にもっと高めていきたいです。
これからの住まいにはこの要素がより重要になってくると考えます。
その根底には住まいをもっと良くしたいという強い気持ちがあります。
暮らす人あってこその住まいですから。

箱があっても住む人がいなかったり仲悪かったりすると寂しいですよね。
充実感をもっていい時間を住まいの中で過ごしてほしいという絶対的に揺るぎない考えがある。
住む人の気持ちに立ち、満足をどれだけ最大化できるかを考えています。
いい空間とは、作り手の満足感ではなく、中にいる方に常に視点を置いていることが重要です。

リフォームでいうと今後は地場に根ざしたローカルビジネスももっと注目されると思います。
リフォームは必ず人が介在するサービスなので、遠くではなく近場の地域密着型が改めて見直されるだろうと感じています。

~おわりに~

「モノよりコト」や「壁はメディア」といったキーワードが印象的でした。
業界の課題も残るが、日本の「住」の伸びしろに対して、梶田様が考える「輸入壁紙を活用した付加価値提案」の意味やメリットについて強く共感しました。

そしてまだまだテシードとしてできることが沢山あると実感。
梶田様のように想いを共にする仲間を増やし、より多くの方に「壁を楽しむという価値観」を広げていくことがテシードとしての使命だと、改めて感じたインタビューでした。