パリ デコオフ2026 トレンドレポート
今回は、1月14日から17日にフランス・パリ市内で開催された「Paris Déco Off 2026(パリ デコオフ)」の様子と、2026年春夏の新作やディスプレイから見えてきたトレンドをご紹介いたします。
今年で第16回目を迎えるパリ デコオフは、セーヌ川を挟む左岸・右岸の常設ショールームや、会期に合わせて設営されるポップアップ展示などを会場とする、市内回遊型のインテリアイベントです。150以上のブランドが参加し、一部を除き一般の方も見学が可能。毎年約40,000人の来場が見込まれる、冬のパリを代表する一大イベントとして定着しています。

マナトレーディングが取り扱う数多くのエディターブランドも、ショールームで最新コレクションのディスプレイを展示し、世界各地の業界関係者を招いた限定プレゼンテーションを開催するなど、会期を通して活気ある様子を見せていました。

THE ROMO GROUPは右岸ショールームで「ROMO」を、左岸のアートギャラリーでは「zinc」の2026年春夏コレクションをそれぞれ発表。


「Cole&Son」 のポップアップ会場は、まるでアパートの一室のような空間。Vivienne Westwoodとのコラボレーション壁紙が披露された。

「JIM THOMPSON」は大規模会場でデザイナーによるプレゼンテーションを開催。
2026年のトレンドキーワード
各エディターブランドの2026年春夏の新作コレクションやディスプレイから見えてきた、トレンドキーワードを2つご紹介いたします。
①アール・デコの再解釈
会期中、繰り返し語られていたのが「アール・デコ」というキーワードです。
1925年にパリで開催された「現代産業装飾芸術国際博覧会(通称 アール・デコ博覧会)」から100周年という節目を迎えたこともあり、当時の様式を現代の暮らしに寄り添う形で再解釈したデザインが数多く発表されていました。
アール・デコを象徴する幾何学模様も、直線的な構成に曲線を取り入れることでやわらかさが加えられており、ベルベットのパイルや凹凸による立体感、温かみのあるカラーパレットなど、現代的な感性でアップデートされています。
壁紙分野においても、存在感のある幾何柄やメタリックな質感を用いた表現が多く見られ、アール・デコのエッセンスが反映されていました。

左 「de Gournay」 ショールーム
右 「CASAMANCE」 2026年春夏の新作「MIMBEAU」コレクションの壁装材

「zinc」のポップアップ展示の様子。ベルギーの建築事務所「DIETER VANDER VELPEN」とのコラボレーションによるファブリックコレクションを発表。
また、和柄を想起させるモチーフも、実はアール・デコと深い関わりがあります。100年前の博覧会では、日本や中国をはじめとする装飾美術が紹介され、幾何学的な構成や反復する文様、洗練された色使いなどの東洋の表現は、当時のデザインに強く影響を与えました。
単なる西洋発のスタイルではなく、世界各地の文化や装飾の影響を受けながら確立された様式。そうした背景を踏まえることで、現代のデザインに見られる「東洋的ニュアンス」も、より奥行きをもって捉えることができます。

「JIM THOMPSON」の「ORIENTAL ODYSSEY」コレクションには青海波や「Bonsai」と名づけられたファブリックが収録。
「ÉLITIS」のショールームディスプレイは着物が。「ONOMICHI」コレクションなど日本からインスピレーションを受けたファブリックが登場。
②生命力を感じる自然とのつながり
デジタル化の加速やウェルビーイングへの関心の高まりを背景に、インテリアにおいてもこれまで以上に自然とのつながりを意識した表現が広がっています。安心感や落ち着きをもたらすスタイルは引き続き支持されながらも、2026年はそこに「活気」が加わっていることが特徴的です。
左 「OSBORNE & LITTLE」の「BELVEDERE」コレクションよりザクロモチーフが刺繍であしらわれたドレープ。
右 スペインのエディターブランド「GUELL LAMADRID」の新作コレクションもアースカラーが揃う。
カラーは、静かで穏やかなだけではなく、草木染めを思わせるセージグリーンやインディゴブルー、大地を感じるテラコッタなど、ほどよい鮮やかさを帯びた自然由来のカラーやアースカラーが主流となっています。
モチーフも、動物や植物などの有機的なテーマや地層や鉱物を想起させるパターンなど、自然界の生命力を感じるものが多く見受けられました。
ミニマリズムの反動から色や柄の人気が回復に向かい、装飾は再びインテリアの重要な選択肢へと広がりつつあります。ただし過度に華美になるのではなく、穏やかでありながらもエネルギーを秘めた表現は、日本の空間でも取り入れていけるようなヒントとなりそうです。

「CASELIO」から発売された「ELEA」コレクションは壁面をアートのように彩るボタニカルモチーフを収録。

「GASTON Y DANIELA」はヒスパニック文化から影響を受けたカラーに注目。他のコレクションとのコーディネーションもしやすいアイテムが揃う。

トレンドをけん引する「ÉLITIS」は鉱物から着想を得た壁紙コレクション「LANZAROTE」を発表。
毎年トレンドの発信地として注目を集めるパリ デコオフ。今年は装飾の美しさをあらためて見つめ直す動きと、自然とのつながりを感じさせる表現が重なり合うシーズンとなりました。
マナトレーディングにも2026年春夏コレクションが続々と届いています。順次発売予定ですので、ぜひ実際の見本帳やサンプルを通して、エディターブランドそれぞれが表現する「今」の世界観をご覧ください。
